外国人介護スタッフが離職する5つの原因と管理者が今すぐできる防止策

外国人介護スタッフが離職する5つの原因と管理者が今すぐできる防止策

「採用してようやく職場に慣れてきたと思ったら、退職の相談を受けた」
「外国人スタッフの変化に気づけず、結果として離職につながってしまった」――こうした悩みを抱える介護施設の管理者は少なくありません。

一方で、「外国人介護士はすぐ辞める」というイメージが、必ずしも実態と一致しているとは限りません。
出入国在留管理庁の資料では、特定技能外国人介護士の離職率は10.6%。介護職員全体の離職率(令和6年度調査:12.4%)と比較すると、必ずしも高い水準とは言えないデータも見られます。

つまり、重要なのは「外国人だから離職する」と考えることではなく、受け入れ体制やコミュニケーション環境をどのように整えるかです。

本記事では、外国人介護スタッフの離職につながりやすい主な要因と、管理者が現場で実践しやすい防止策について整理します。

目次

外国人介護スタッフの離職率は本当に高いのか?

「外国人はすぐ辞める」という印象を持つ施設もあります。
しかし、実際のデータを見ると、一概にそうとは言い切れません。

出入国在留管理庁が公表した資料では、特定技能外国人介護士の離職率は10.6%とされています。
また、公益財団法人介護労働安定センターによる令和6年度調査では、介護職員全体の離職率は12.4%となっています。

これらのデータから、適切な受け入れ体制や支援環境が整っている場合、外国人材が継続的に勤務しているケースも見られます。


外国人介護士離職率 vs 介護職員全体離職率 比較グラフ

 特定技能外国人の離職率10.6%はどう見るべきか?

10.6%という数字だけを見ると、高い・低いの判断は簡単ではありません。
ただし、特定技能制度では、一定の試験や要件を満たした人材が就労していることもあり、継続就労につながっているケースもあります。

一方で、離職率が低いからといって、課題が存在しないわけではありません。
表面化していない不安やストレスが蓄積している場合もあるため、日常的なフォローが重要です。

「すぐ辞める」というイメージはなぜ生まれるのか?

「外国人はすぐ辞める」という印象には、いくつかの背景があります。

例えば、小規模施設では外国人スタッフの人数が限られているため、1人の退職が強く印象に残りやすい傾向があります。

また、転職やキャリア変更の事例が話題になりやすいことも、イメージ形成に影響している可能性があります。

重要なのは、個別の印象だけで判断するのではなく、制度やデータ、現場状況を踏まえて対応を考えることです。

外国人スタッフが離職につながりやすい主な要因とは?

原因カテゴリー主な内容
① 採用前の認識ギャップ業務内容・条件・生活環境への理解不足
② 待遇・労働条件への不満給与・休日・シフト等への不安
③ 孤立感・コミュニケーション課題言語・文化面での不安
④ 生活面・家族面の負担生活費や家族支援への悩み
⑤ キャリアイメージ不足将来像や成長機会が見えにくい

採用前の認識ギャップとは?

早期離職につながる要因の一つとして、採用前の情報共有不足があります。

たとえば、

  • 夜勤の有無
  • 身体介助の割合
  • シフト体制
  • 寮・住居環境
  • 給与や手当

などについて、応募時点で十分に理解できていない場合、入職後にギャップを感じるケースがあります。

そのため、仕事内容や勤務条件をできるだけ具体的に共有することが重要です。

外国人介護人材の受入れや定着支援については、厚生労働省が公開している関連ガイドラインも参考になります。

待遇・労働条件への不満はなぜ起きるのか?

外国人材にとって、給与や生活コストは大きな関心事項の一つです。

特に、日本での生活費、母国への送金、将来の貯蓄などを考慮して働いているケースもあり、収入や支出への不安がストレスにつながることがあります。

また、「昇給基準が分かりにくい」「評価制度が見えにくい」と感じる場合、不満につながるケースもあります。

給与額そのものだけでなく、説明の透明性も重要です。

孤立感・コミュニケーション課題はどう影響するのか?

異国で生活しながら働くことは、想像以上に精神的負担が大きい場合があります。

特に、日本語への不安、職場で相談しづらい、母語で話せる相手が少ないといった状況が続くと、孤立感につながることがあります。

日常的な声かけや定期面談、多言語対応可能な相談窓口などを整備することで、心理的負担の軽減につながるケースもあります。

生活面・家族面の負担とは?

外国人材の中には、母国の家族を支える目的で来日しているケースもあります。

そのため、想定より生活費が高い、仕送りとのバランスが難しい、家族の体調や生活への不安などが精神的負担になることもあります。

これらは職場では見えにくい課題であるため、定期的なコミュニケーションを通じて把握していくことが重要です。

キャリアパスの不明確さはなぜ影響するのか?

日本での生活や仕事に慣れてきた頃に、「今後どのように成長できるか」を考え始める人もいます。

例えば、

  • 介護福祉士資格取得
  • リーダー業務
  • 長期就労

などのイメージが持てない場合、将来への不安につながることがあります。

そのため、中長期的なキャリアイメージを共有することが、定着支援の一つになります。

離職リスクが高まりやすい時期とは?

外国人介護スタッフの離職には、一定のタイミング傾向が見られることがあります。

時期主な特徴推奨対応
入社後1ヶ月生活・業務への不安が強い生活支援・定期フォロー
入社後3ヶ月現実とのギャップを感じやすい面談・業務確認
入社後6ヶ月金銭面・将来面の悩みが出やすいキャリア相談
入社後12ヶ月転職・将来を考え始めるキャリアパス共有

特定の時期に集中的なフォローを行うことで、早期離職防止につながる場合があります。

離職のサインをどう早期に察知するか?

日常の変化にどう気づくか?

離職を考えている場合でも、直接言葉にしないケースがあります。

そのため、以下のような変化に注意することが重要です。

  • 表情や会話量の変化
  • 相談や質問が減る
  • 休憩時間に孤立している
  • 欠勤や有給申請が増える

こうした変化を早期に把握するためには、日常的に話しかけやすい環境づくりが重要です。

定期面談では何を確認すべきか?

1on1面談は、離職防止に役立つ取り組みの一つです。

ただし、「困っていることはありますか?」だけでは、本音を引き出しにくい場合があります。

例えば、

  • 最近大変だと感じること
  • 日本での生活状況
  • 将来や資格取得への考え
  • 職場改善への希望

など、具体的なテーマで会話することで、状況把握につながりやすくなります。


ミスマッチを採用前に防ぐにはどうすればよいか?

事前情報共有はなぜ重要なのか?

採用前に正確な情報共有を行うことで、入職後のギャップ軽減につながります。

特に共有しておきたい内容は以下の通りです。

  • 夜勤・身体介助の有無
  • 給与・手当・昇給制度
  • 寮・住居環境
  • シフト体制
  • 職場の外国人比率

可能であれば、母語や分かりやすい日本語で説明することが望ましいです。

採用時に確認したいポイントとは?

語学力だけでなく、

  • チームで協力できるか
  • 日本で働く目的が明確か
  • 長期就労への意欲があるか

なども重要な確認ポイントになります。

複数回の面談や具体的な質問を通じて、相互理解を深めることが大切です。

入社後の定着支援では何が重要か?

日本語・生活・メンタル支援をどう進めるか?

定着支援は、主に以下の3つの観点で考えられます。

日本語支援

  • 振り仮名付きマニュアル
  • やさしい日本語
  • 学習機会の提供

生活支援

  • 銀行・役所手続き
  • 医療機関受診
  • 生活相談

メンタル支援

  • 定期面談
  • 相談窓口
  • 多言語対応

メンタルケアに関する専門情報はこちら

職場コミュニケーションを改善するには?

外国人スタッフが「相談しやすい」と感じられる環境づくりが重要です。

具体例として、

  • やさしい日本語の活用
  • メンター制度
  • 多文化理解研修
  • 成長や成果を共有する機会

などが挙げられます。

キャリア支援と処遇改善で長期定着につなげるには?

介護福祉士取得支援はなぜ重要なのか?

介護福祉士資格取得は、外国人材にとって大きな目標になる場合があります。

施設としても、

  • 長期戦力化
  • 専門性向上
  • キャリア形成支援

につながる可能性があります。

勉強機会や資格取得支援を整備する施設も増えています。

賃金以外の支援には何があるか?

定着には、給与以外の環境面も重要です。

例えば、

  • 有給取得のしやすさ
  • 生活環境への配慮
  • 日常的な感謝や承認
  • 家族事情への配慮

などが、安心感や帰属意識につながるケースがあります。

離職防止チェックリスト — 管理者が確認したいポイント

#チェック項目
採用前に仕事内容・条件を丁寧に共有している
入社初期の生活支援を実施している
定期面談を実施している
多言語相談体制を確保している
日本語学習支援を行っている
キャリアパスを共有している
評価・昇給制度を説明している
入社後3ヶ月・6ヶ月・1年で重点フォローしている
多文化理解研修を実施している
外部支援機関を活用している


外国人スタッフの定着支援や受け入れ体制について相談をご希望の企業様は、こちらからお問い合わせいただけます。
外国人材の受け入れや定着支援に関する情報提供を行っています。


【FAQ】よくある疑問 — 外国人 離職 防止

Q1: 外国人スタッフから退職相談があった場合はどう対応するか?

まずは、背景や不安を丁寧に確認することが重要です。
必要に応じて通訳や母語対応可能な担当者を交えながら、状況整理を行う方法もあります。

Q2: 登録支援機関を活用すると定着支援につながるか?

生活支援や定期フォローなどを外部機関が担うことで、施設側の負担軽減につながるケースがあります。
ただし、施設内でのコミュニケーション体制も重要です。

Q3: 小規模施設でも定着支援は可能か?

可能です。
外部機関や地域連携を活用しながら、できる範囲から始める施設もあります。

Q4: 技能実習と特定技能では対応は異なるか?

制度上の違いはありますが、基本的な考え方としては、

  • コミュニケーション
  • 生活支援
  • キャリア支援

などが共通して重要になります。

Q5: 外国人スタッフ同士の人間関係も影響するか?

場合によっては、職場内の人間関係や文化的背景の違いがストレスにつながることもあります。
定期的なコミュニケーションの機会を設けることが重要です。

【まとめ】外国人介護スタッフの定着支援で重要なポイント

  • 外国人介護士の離職率は、必ずしも高いとは言い切れない
  • 採用前の情報共有不足がミスマッチにつながる場合がある
  • 孤立感や生活面の不安への配慮が重要
  • 入社後1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月は重点フォロー時期
  • 日本語・生活・メンタル支援を継続的に行う
  • キャリア形成支援や相談しやすい環境づくりが定着につながる
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