介護施設が外国人採用を選ぶ理由とは?日本人採用との違いと成功のポイントを解説

「毎月求人を出しても応募がない」「せっかく採用した職員が早期離職してしまう」――介護施設の管理者や採用担当者から、こうした声を耳にする機会が増えています。
介護サービス職業の有効求人倍率は令和6年2月時点で3.85倍。日本人求職者のみを対象とした採用活動だけでは、人材確保が難しくなっている施設も増えています。
そこで今回は、介護 外国人 採用に注目が集まる背景、日本人採用との違い、そして受け入れを進める際に押さえておきたいポイントについて、最新データをもとに整理します。
介護業界の人手不足はなぜここまで深刻なのか?
介護業界が直面している人材不足は、一時的な問題ではなく、長期的な人口構造の変化とも深く関係しています。
日本の高齢化率は2024年10月時点で29.3%に達し、2025年前後からは介護ニーズのさらなる拡大が見込まれています。
一方で、15歳〜64歳の生産年齢人口は1995年をピークに減少を続けています。介護サービスの需要が高まる一方、働き手となる人口は減少しており、この需給ギャップが介護現場の人材不足をより深刻にしています。

2040年に57万人不足とはどういう意味か?
厚生労働省の推計によると、2040年には約272万人の介護職員が必要になるとされています。2022年時点の就業者数を基準にすると、約57万人の人材不足が生じる可能性があります。
特に地方都市や中小規模の施設では、人材確保の競争が厳しく、求人募集を続けても応募につながりにくいケースも見られます。
【データポイント】
介護サービス職業の有効求人倍率(令和6年2月):3.85倍
全職種平均(1.20倍)を大きく上回る水準
日本人採用だけでは本当に間に合わないのか?
「まずは日本人採用を優先したい」と考える施設は少なくありません。
一方で、介護業界では他業界との人材獲得競争が続いており、若年層の流入不足や既存職員の高齢化も課題となっています。
日本人採用を継続しながらも、それだけでは必要人数の確保が難しいケースも増えており、外国人採用は補完的な選択肢の一つとして注目されています。
国人採用は「代替」ではなく「補完」である — この違いが重要な理由は?
外国人採用を検討する際、「既存スタッフへの影響を心配する声」が上がることがあります。
しかし実際には、外国人材は日本人職員の代替というより、人材不足を補完する存在として活用されるケースが多く見られます。
厚生労働省が設定した特定技能介護の受入れ見込み数は135,000人ですが、2025年12月末時点の実際の在留者数は67,871人となっています。受け入れ余地は依然として大きい状況です。
【チャート挿入イメージ】
特定技能介護の受入れ見込み数 vs 実際の在留者数(2025年12月末)
日本人スタッフとの協働はうまくいくのか?
「外国人スタッフが入ることで現場運営に不安がある」と感じる施設もあります。
一方で、実際に受け入れを行った施設からは、「想定よりスムーズだった」という声も聞かれます。
重要なのは、受け入れ前に既存職員へ採用目的を共有し、施設全体でサポート体制を整えることです。
特定の担当者だけに負担が集中しない運用設計が、円滑な協働につながります。
外国人採用を進める施設の現場では何が起きているのか?
特定技能1号で来日する外国人介護士の多くは、母国で介護の基礎知識を学び、日本語能力試験や介護技能評価試験を経て来日しています。
来日後は、身体介護(入浴・食事・排せつ介助)やレクリエーション補助、機能訓練補助など、幅広い業務に従事できます。
また、2025年4月からは訪問介護分野への従事も可能となり、活躍の場が広がっています。
現場からは、「前向きに業務へ取り組んでいる」「継続的に勤務しているケースも見られる」といった声もあります。
外国人介護士を採用する具体的なメリットは何か?
介護 外国人 採用に取り組む施設が増えている背景には、複数のメリットがあります。
人材確保の幅が広がるとはどういうことか?
東南アジア諸国では若年人口が多く、日本で介護職として働くことを希望する人材も一定数存在しています。
採用対象を国内だけでなく海外にも広げることで、候補者の選択肢が増える可能性があります。
また、日本での就業を希望する外国人材の中には、地方勤務に柔軟なケースもあり、地方施設での採用事例も見られます。
外国人の定着率は日本人と比べてどうなのか?

一般的な傾向として、外国人材は来日の目的意識が明確であるケースも多く、継続的に勤務している事例も見られます。
一方で、日本語や生活環境への適応支援が不十分な場合、早期離職につながる可能性もあります。
そのため、受け入れ後のフォロー体制が定着率に大きく影響します。
訪問介護制度改正(2025年4月)で何が変わったのか?
2025年4月より、特定技能外国人および技能実習生が訪問介護業務に従事できるようになりました。
これまで外国人材の活用は施設系サービス中心でしたが、この制度改正により、訪問介護・定期巡回サービスなどでも活用の可能性が広がっています。
ただし、受け入れ施設には研修実施など一定の要件が求められます。
外国人採用で気をつけるべき課題とは何か?
外国人採用にはメリットがある一方、事前に理解しておきたい課題もあります。
受け入れ後の運用を見据えて準備を進めることが重要です。
言語の壁はどこまで問題になるのか?
特定技能1号では、日本語能力試験(N4相当以上)および介護日本語評価試験の合格が求められています。
そのため、基本的なコミュニケーション能力はありますが、介護現場では専門用語や利用者対応など、より実践的な日本語力も必要になります。
来日後も継続的な日本語支援やOJT体制を整備することが重要です。
受け入れコストと手続きの負担はどれくらいか?
外国人採用では、在留資格申請費用や支援関連費用などが発生します。費用体系は、採用ルートや支援内容、受け入れ人数によって異なります。
また、日本人採用においても、求人広告費や紹介手数料、教育コストなどが発生するため、単純な初期費用だけでなく、中長期的な定着や運営体制も含めて検討することが重要です。
手続きについては、登録支援機関を活用することで、施設側の負担軽減につながるケースもあります。
介護分野で使える在留資格の種類と選び方は?
介護分野で外国人が就労できる在留資格は主に4種類あります。
施設の体制や採用目的によって、適した制度は異なります。
| 在留資格 | 主な対象 | 在留期間 | 業務範囲 | 主な特徴 |
| 特定技能1号 | 試験合格者 | 最長5年 | 広範(訪問介護含む) | 即戦力人材として活用しやすい |
| 特定技能2号 | 特定技能1号修了者等 | 更新上限なし | 同上 | 長期就労が可能 |
| 技能実習(介護) | 監理団体経由 | 最長5年 | 主に施設系 | 育成型制度 |
| 在留資格「介護」 | 介護福祉士保有者 | 更新上限なし | 制限なし | 高い専門性 |
| EPA | 協定国3カ国 | 原則4年 | 主に施設系 | 来日前研修あり |
特定技能1号と技能実習、どちらが施設に向いているのか?
即戦力性や採用の柔軟性を重視する場合、特定技能1号が選ばれるケースも多く見られます。
一方、技能実習は育成を前提とした制度であり、長期的な教育体制を整えたい施設に適しています。
施設の受け入れ体制や採用方針に応じて選択することが重要です。
在留資格「介護」とEPAはどんな施設に適しているのか?
在留資格「介護」は介護福祉士資格保有者が対象であり、長期就労や専門性の高い人材確保を目指す施設に適しています。
EPAは、インドネシア・フィリピン・ベトナムとの経済連携協定に基づく制度で、来日前日本語研修などが行われます。
いずれも受け入れ準備は必要ですが、中長期的な人材育成を視野に入れた選択肢となります。
外国人介護士の採用にかかる費用と日本人採用との比較は?

紹介手数料・支援費用の考え方は?
外国人採用では、在留資格申請費用や支援機関への委託費用などが発生します。
一方、日本人採用でも、求人広告費・紹介手数料・研修費用などが必要になるケースがあります。
そのため、初期費用のみで比較するのではなく、定着や長期運用も含めて検討することが重要です。
長期的な運用視点で何を見るべきか?
外国人採用を検討する際は、採用後の定着支援や教育体制も重要なポイントになります。
安定した人員体制の構築により、既存職員の負担軽減やサービス品質向上につながるケースもあります。
中長期的な視点で運用体制を整えることが重要です。
外国人介護士を受け入れるための7ステップとは?
初めて外国人材を受け入れる施設向けに、基本的な流れを整理します。
| ステップ | 内容 | 目安期間 |
| 1. 体制確認 | 受入れ要件を確認 | 〜2週間 |
| 2. 在留資格選定 | 制度を選定 | 〜1ヶ月 |
| 3. 支援機関選定 | 登録支援機関等を選定 | 〜2週間 |
| 4. 人材マッチング | 面接・選考 | 1〜3ヶ月 |
| 5. 在留資格申請 | 書類作成・申請 | 1〜4ヶ月 |
| 6. 入国・研修 | オリエンテーション等 | 入国後1〜2週間 |
| 7. 定着支援 | 日本語・生活支援等 | 継続実施 |
登録支援機関を活用することで、一部業務の負担軽減につながる場合があります。
受け入れ後の定着支援で注意したいポイントは何か?
採用後の定着支援は、介護 外国人 採用において重要な要素です。
受け入れ後のサポート体制によって、職場定着に差が出るケースもあります。
登録支援機関の役割と選び方は?
特定技能外国人を受け入れる場合、施設は登録支援機関へ支援業務を委託することができます。
支援内容には、生活サポート、日本語支援、行政手続き支援などがあります。
選定時には以下の点を確認することが重要です。
- 介護分野での支援実績
- 多言語対応体制
- 施設との連携・報告体制
現場でよくある課題とその対処法は?
よくある課題としては、コミュニケーション不足、日本の職場文化への適応、生活面での不などがあります。
対策としては、
- 定期面談の実施
- 多文化理解研修
- 小さな変化を早期に把握する体制づくり
などが有効とされています。
採用手続きや受け入れ体制について相談をご希望の企業様は、こちらからお問い合わせいただけます。
外国人材の受け入れや定着支援に関する情報提供を行っています。
【FAQ】よくある疑問 — 介護 外国人 採用
Q1: 外国人介護士の日本語レベルはどの程度必要か?
特定技能1号では、日本語能力試験N4相当以上と介護日本語評価試験の合格が必要です。
基本的なコミュニケーションは可能ですが、継続的な日本語支援が重要になります。
Q2: 地方の施設でも外国人採用は可能か?
可能です。地方施設での受け入れ事例も見られます。
住環境や生活支援体制の整備が定着につながるポイントになります。
Q3: 外国人が夜勤に入ることはできるのか?
特定技能1号では夜勤業務が可能です。
一方、技能実習では制度上の制限があります。制度ごとのルール確認が必要です。
Q4: 採用してすぐに現場に入れるのか?
特定技能1号として在留資格取得済みの人材は、オリエンテーション後に現場業務へ従事できます。
ただし、段階的に業務範囲を広げる運用を行う施設も多く見られます。
Q5: 外国人が介護福祉士を取得した場合どうなるのか?
介護福祉士国家試験に合格し、在留資格「介護」に変更した場合、長期就労が可能になります。
施設によっては、将来的なリーダー候補として資格取得支援を行うケースもあります。
