外国人介護士のビザ条件と特定技能「介護」在留資格を徹底解説【2026年最新】

外国人介護士のビザ条件と特定技能「介護」在留資格を徹底解説

外国人介護士の採用を検討する介護事業者が最初につまずくのが、在留資格の複雑な制度体系です。本記事では「特定技能1号(介護)」「在留資格『介護』」「技能実習」「EPA」という4つの在留資格の条件・違い・申請手順を、事業者の実務視点で体系的に解説します。2026年3月に外食業分野で上限運用が開始されるなど、特定技能制度は分野ごとに局面が変わりつつあります。介護分野の最新受け入れ状況(出入国在留管理庁 2025年12月末公表値)と制度動向を踏まえ、採用戦略に必要な情報を整理します。

目次

2026年の特定技能制度——介護分野が今なぜ重要か

2026年3月27日、出入国在留管理庁と農林水産省は、特定技能「外食業分野」について受け入れ上限を運用する方針を決定し、4月13日には在留資格認定証明書等の交付を一時的に停止する措置を講じました。背景にあるのは、外食分野の特定技能1号在留者数が2026年2月末時点で速報値約4万6,000人となり、受け入れ見込み数の上限(5万人)に近づいたためです(ICO Japan分析資料より)。

この出来事が示しているのは、特定技能制度が「必要になればいつでも使える仕組み」ではなく、分野によってはすでに上限運用の現実に入っているという点です。外食分野が上限に近づいた今、次に注目すべきは介護分野です。

出入国在留管理庁の統計(2025年12月末時点、ICO Japan集計・分析)によれば、特定技能1号「介護」の在留外国人数は67,871人。受け入れ見込み数(126,900人)に対する充足率は50.3%であり、外食分野(82.8%)と比較して、まだ大きな余地が残されています。しかも、2025年6〜12月の半年間だけで約13,000人増加しており、受け入れが加速しています。

こうした状況を踏まえ、「外国人材をどう受け入れるか」を今のうちに整理しておくことが、事業継続の観点からも重要性を増しています。以下では、在留資格の制度体系から申請実務・定着支援まで、段階的に解説します。

特定技能「介護」の在留資格を取得するための条件とは

特定技能1号「介護」は、2019年4月に創設された在留資格です。人手不足が深刻な分野で、即戦力となる外国人材が働ける制度として設計されました。取得には健康・素行上の要件に加え、以下の試験への合格が原則必要です。

介護技能評価試験と日本語試験の合格基準は何か

特定技能1号「介護」の取得には、以下3つの試験への合格が原則として必要です(一定の条件を満たす場合は一部免除)。

試験名内容水準
介護技能評価試験介護の知識・技術を問うCBT方式の試験合格基準に達すること
日本語能力試験(JLPT)N4以上 または 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2以上日本語の読解・聴解力N4合格 または A2レベル認定
介護日本語評価試験介護現場で使う日本語の実用理解合格基準に達すること

📌 実務留意点:試験はベトナム・フィリピン・インドネシアなど海外でも実施されています。試験合格者をゼロから採用する場合、試験準備から来日まで概ね6〜12か月を見込んでください。最新の実施情報は介護技能評価試験事務局の公式サイトでご確認ください。

技能実習・EPA・留学生からの移行ルートはどう違うか

すでに日本に在留している外国人が特定技能「介護」に移行する場合、バックグラウンドによって要件が異なります。

出発点移行要件試験免除備考
技能実習2号修了者介護職種での技能実習2号を良好修了介護技能評価試験・介護日本語評価試験(日本語試験は原則必要)最もスムーズな移行ルートの一つ
EPA介護福祉士候補者在留期間満了後に申請条件により一部免除となる場合があるフィリピン・インドネシア・ベトナム等EPA締結国対象
介護福祉士養成施設の卒業留学生卒業と同時に在留資格「介護」を取得可能特定技能の試験要件は不要特定技能を経ずに直接移行できる

傾向として、技能実習2号修了者からの移行は手続きが整備されており、受け入れ実績のある人材を継続雇用できるメリットがあります。一方、養成施設卒業の留学生は特定技能を経ずに在留資格「介護」を直接取得できるため、長期雇用を前提とする場合は検討の余地があります。

外国人介護士が働ける4つの在留資格の違いは何か

介護分野で外国人が働ける在留資格は大きく4種類あります。それぞれの特徴を正確に把握することが、採用戦略の第一歩です。

在留資格主な取得要件在留期間家族帯同訪問系従事
特定技能1号「介護」試験合格(または免除要件)通算5年まで不可原則不可(一定の要件あり)
在留資格「介護」介護福祉士国家資格の保有更新に上限なし可(全サービス)
技能実習(介護)送り出し機関・監理団体を通じた手続き最長5年(1〜3号)不可条件付きで限定的に可
EPA介護福祉士候補者EPA締結国からの特定ルート最長4年不可施設系のみ

在留資格「介護」と特定技能1号はどちらを選ぶべきか

この2つを端的に言えば、「まず現場戦力として活用するか、長期定着を最優先にするか」という採用方針の違いです。

特定技能1号は採用候補者の幅が広く、比較的早い段階で採用に至る傾向があります。ただし在留期間は通算5年が上限で、家族帯同も認められません。長期雇用を見据えるなら、就労開始後に介護福祉士取得を目指し、在留資格「介護」へ移行するロードマップを採用段階から設計することが重要です。

在留資格「介護」は介護福祉士国家資格の保有が必須です。家族帯同が認められるため、定住意欲が高まり、一般的に定着率の向上につながりやすいとされています。

在留期間・家族帯同・キャリアパスの比較ポイントは

中長期の人材育成を考えるならば、「特定技能1号→介護福祉士→在留資格『介護』」というキャリアパスを軸に採用計画を立てることが一般的に推奨されます。

•       入国〜1年目:特定技能1号として就労開始。OJTと日本語研修を並行実施

•       2〜3年目:専門業務の習熟・実務者研修の受講開始

•       3〜5年目(実務3年ルート):実務経験3年以上+実務者研修修了で介護福祉士国家試験の受験資格を取得

•       介護福祉士取得後:在留資格「介護」への変更申請が可能

•       在留資格「介護」移行後:更新に上限なし・家族帯同が認められる

このロードマップを採用段階から人材と共有することが、長期定着につながる傾向があります。「5年で終わり」という認識を持たれると離職リスクが高まるため、将来のビジョンを丁寧に伝えることが重要です。

介護分野の外国人材は今、どこの国から来ているか

制度全体ではベトナムが特定技能1号の最大国籍(全分野合計158,497人・41.5%)ですが、介護分野に限ると構図は大きく異なります。2025年12月末時点のデータ(出入国在留管理庁公表統計に基づくICO Japan集計)では、インドネシアが最多、ミャンマーが続き、ベトナムは三番手です。

国籍介護分野 人数全分野 合計介護内シェア充足率(介護)
インドネシア21,139人 ★1位86,523人31.1%
ミャンマー19,803人 ★2位44,315人29.2%
ベトナム10,401人 ★3位158,497人(全分野1位)15.3%
ネパール6,013人12,277人8.9%
フィリピン5,704人35,521人8.4%
合計(全国籍)67,871人382,341人100%50.3%

出典:出入国在留管理庁公表統計(2025年12月末時点)をICO Japanが集計・分析。充足率は受け入れ見込み数(126,900人)に対する2025年12月末時点の数値。

この構図が示しているのは、「介護分野の採用市場は、全体市場のイメージとはすでに異なっている」という事実です。受け入れ施設が特定の国籍に偏った採用計画を立てている場合、実態とのズレが生じる可能性があります。在留資格・スキル・即戦力性を軸に採用戦略を組み立てることが、安定した供給につながります。

介護事業者が満たすべき受け入れ要件と申請手続きとは

外国人材を受け入れる事業者(受入機関)は、一定の要件を満たし、適切な申請手続きを経る必要があります。

登録支援機関の選び方と協議会加入の義務は

特定技能外国人を受け入れる事業者には、以下の基本要件が求められます(出入国在留管理庁の定める基準に基づく)。

•       労働・社会保険関連法令を遵守していること

•       同等業務の日本人労働者と同等以上の報酬水準であること

•       1年以内に同種業務の労働者を非自発的に離職させていないこと

•       5年以内に入管法・労働関係法令の罰則を受けていないこと

支援体制の整備が難しい場合は、登録支援機関に支援業務を委託できます。登録支援機関は、入国前ガイダンス・住居確保・生活オリエンテーション・日本語学習支援・定期面談など14項目の義務的支援を担います。

介護分野では、特定技能外国人を初めて受け入れた後、所定の期間内に介護分野特定技能協議会への加入申請を行う義務があります。最新の手続き詳細は出入国在留管理庁の公式サイトでご確認ください。

登録支援機関を選ぶ際、一般的に以下の点を確認することが推奨されます。

•       介護分野での外国人材支援実績があるか

•       外国人材の母国語(多言語)での対応が可能か

•       就労後の定期フォロー・相談対応体制があるか

•       費用体系が明確に開示されているか(初期費用・月額支援費の内訳)

•       行政書士等との法的対応の連携体制があるか

申請書類一覧とスケジュールの立て方は

在留資格認定証明書(COE)交付申請に必要な主な書類は以下のとおりです(一般的な例。最新の必要書類は出入国在留管理庁の公式サイトでご確認ください)。

•       在留資格認定証明書交付申請書

•       各試験の合格証明書(介護技能評価試験・日本語試験・介護日本語評価試験)

•       雇用契約書の写し

•       特定技能所属機関概要書

•       登録支援機関との支援委託契約書(委託する場合)

•       支援計画書(全14項目の義務的支援事項を記載)

•       介護分野特定技能協議会への加入に関する書類

•       事業者の直近の税務・社会保険関連書類 等

標準的な処理期間として、申請から許可・来日まで3〜5か月程度を見込むことが一般的です。書類の不備があると審査が延長されるため、事前の確認が重要です。

📌 留意事項:申請書類の要件は制度改正等により変更される場合があります。提出前に必ず出入国在留管理庁の最新情報をご確認ください。

訪問介護で外国人を配置するための条件と注意点は

訪問系サービスへの外国人材の配置は、施設系サービスと異なるルールが設けられています。

初任者研修と実務経験要件とは

特定技能1号「介護」は訪問系サービス(訪問介護・定期巡回・夜間対応型訪問介護等)への従事が原則として制限されています。利用者と1対1になる機会が多い訪問系では、言語コミュニケーション・緊急対応・倫理的判断などの観点から、一定の経験が前提とされるためです。

訪問系サービスへの従事を検討する場合、一般的に以下の要件が求められるとされています。

•       介護職員初任者研修の修了

•       施設系サービスでの実務経験が概ね1年以上あること

•       受入機関が介護分野特定技能協議会の適合確認を受けていること

最新の要件については、出入国在留管理庁および厚生労働省の通知を必ずご確認ください。

訪問系サービスで活用できる在留資格はどれか

在留資格訪問系サービスへの従事
特定技能1号「介護」原則不可(一定の要件を満たした場合に限定的に可)
在留資格「介護」(介護福祉士)可(訪問介護を含む全サービス)
技能実習特定の条件下で限定的に可

訪問介護を主体とする事業者が外国人材の活用を検討する場合、在留資格「介護」(介護福祉士)を持つ人材の採用が、制度上の制約が最も少ない選択肢となります。

特定技能から介護福祉士への長期キャリアパスはどう設計するか

介護福祉士取得で在留資格「介護」へ変更するメリットは

介護福祉士を取得して在留資格「介護」に移行することには、受入事業者・外国人材双方にメリットがあります。

受入事業者にとって

•       在留期限を気にせず中長期にわたって戦力化できる

•       訪問系サービスへの配置が可能になる

•       家族帯同が認められ、本人の定住意欲・定着率が高まる傾向がある

外国人材にとって

•       在留資格の更新回数に上限がなくなる(継続就労が可能)

•       家族の呼び寄せが認められる

•       将来的な永住申請の要件として在留年数が積み上がる

定着率を高める育成ロードマップの作り方は

採用から長期定着を見据えた育成設計の参考例(実務3年ルートの場合):

•       1年目:日常会話レベルの日本語定着・介護業務の基本習得・職場適応

•       2年目:専門業務の習熟・実務者研修受講開始・試験準備スタート

•       3年目:介護福祉士国家試験受験・合格後のキャリアプラン見直し

•       4〜5年目:在留資格「介護」への変更申請・リーダー職登用の検討

このロードマップを採用段階から人材と共有し、「続けられる理由」を明示することが、離職防止に直結する傾向があります。

外国人介護士の採用で失敗しやすい落とし穴とは

離職リスクを防ぐ生活支援・教育体制のポイントは

外国人材の採用でよく見られる失敗パターンを整理します。

•       採用後のフォロー体制が整わず、孤立感から早期離職に至るケース

•       住居・銀行口座・健康保険など生活基盤の整備が来日直後に完了していないケース

•       職場での日本語コミュニケーションが想定以上に難しく、業務に支障が出るケース

•       日本人スタッフとの文化的な摩擦が放置され、心理的安全性が保てないケース

•       研修・資格取得のサポートがなく、モチベーションが低下するケース

こうした問題を防ぐには、「来日後の定着支援」への注力が求められます。来日前の丁寧なオリエンテーション(仕事内容・生活ルール・職場マナーの事前共有)、来日後の定期面談、メンター制度などが有効とされています。

申請不許可を避けるためのコンプライアンス対策は

在留資格の申請が不許可となるリスクを下げるには、以下の点への留意が重要です。

•       雇用契約書・労働条件通知書が適切であること(日本人と同等以上の報酬水準)

•       支援計画書の14項目が具体的かつ実行可能な形で記載されていること

•       社会保険・雇用保険への加入が適切に行われていること

•       過去に外国人労働者に関する法令違反がないこと

•       申請書類に記載の不整合・脱漏がないこと

行政書士や登録支援機関に事前確認を依頼することで、書類不備のリスクを低減できます。

外国人材支援サービスの活用について

外国人介護士の採用は、「人材を見つける」だけでは完結しません。選定・事前教育・在留資格申請支援・来日後の定着フォローという一連のプロセスが、安定した受け入れを実現します。

ICO Japanのサポート体制について

ICO Japanは、外国人材の法的手続き・定着支援を重視している企業として、登録支援機関の機能を持ち、生活支援・就労サポートを提供しています。外国人材の支援経験10年以上を持ち、法令遵守・トラブル防止に重点を置いた運営を行っています。

主な特徴として、国籍ありきの紹介ではなく、在留資格・スキル・即戦力性を中心に候補者を提案する体制を整えています。来日後も生活・日本語・メンタル面の継続フォローを実施し、早期の変化を把握して退職リスクの低減を目指しています。

現在、関東・関西・東海エリアを中心に、グループとして累計約2,000名以上の外国人材を日本企業へ紹介しています(介護を含む複数分野)。特定技能については約150名以上を支援中(更新中のデータ)、技能実習生は日本国内で約500名をサポート中です。

初回相談から採用までの流れ

一般的な採用支援の流れは以下のとおりです。

1.     初回ご相談:事業所の状況・受け入れ希望人数・業種・エリアなどをヒアリング

2.     候補者プロファイルの提示:経歴・試験合格状況・日本語レベルをご確認

3.     面接実施:オンラインまたは現地での面接(サポートスタッフが対応)

4.     雇用条件の確認・契約:労働条件の整合・雇用契約の締結

5.     在留資格申請サポート:必要書類の確認・登録支援機関として申請手続きをサポート

6.     来日準備・受け入れ体制整備:住居確保・生活準備のアドバイス

7.     就労開始・定着支援:就労後の定期フォロー・相談対応

FAQ:外国人介護士ビザに関するよくある質問

特定技能「介護」の試験は海外でも受験できますか

はい、受験可能です。フィリピン・インドネシア・ベトナムをはじめ複数の国で介護技能評価試験が実施されています。実施頻度・申込方法は国によって異なるため、最新情報は介護技能評価試験事務局の公式サイトでご確認ください。

技能実習2号修了者は試験免除で特定技能に移行できますか

介護職種で技能実習2号を良好修了した場合、介護技能評価試験および介護日本語評価試験が免除されます。ただし、日本語能力試験(N4以上)または国際交流基金日本語基礎テスト(A2以上)は原則として必要です。

小規模事業所でも外国人介護士を受け入れられますか

事業所の規模による制限は設けられていません。支援体制の整備が難しい場合は登録支援機関への委託が選択肢となります。

報酬額はどのように設定すればよいですか

同等の業務に従事する日本人労働者と同等以上の水準が求められます。最低賃金を下回ることはできません。

在留期間の更新時に必要な手続きは何ですか

更新時は最新の就労状況・支援実施状況の確認書類が求められます。通算5年の上限に達する前に、在留資格「介護」への変更または帰国の判断が必要です。

外国人材に社会保険の加入義務はありますか

はい。日本で就労する外国人材も、日本人と同様に健康保険・厚生年金保険・雇用保険への加入義務があります。未加入のまま受け入れることは法令違反となります。

特定技能外国人は転職(転籍)できますか

同一の特定産業分野内での転籍(転職)が認められています。ただし、転籍先の事業者も特定技能外国人の受け入れ要件を満たしている必要があります。

まとめ:制度を理解し、採用戦略に活かすために

2026年に外食分野で上限運用が始まったように、特定技能制度は静止した制度ではありません。介護分野は現在(2025年12月末)で67,871人・充足率50.3%であり、まだ拡大の余地を残しながら急速に人材が流入しています。「外国人材を受け入れるかどうか」を議論する段階を越え、「どう受け入れ、どう定着させるか」が問われる段階に入っています。

制度の理解は前提ですが、実際に定着につながるのは「受け入れ後の支援体制」と「将来ビジョンの共有」です。採用を検討する段階から、登録支援機関や外国人材支援の専門会社と連携することで、申請ミスのリスクを低減し、来日後の定着率を高めることが期待できます。

採用手続きや受け入れ体制について相談をご希望の企業様は、ICO Japanhttps://icojapan.co.jp/)よりお問い合わせいただけます。

※本記事は出入国在留管理庁・厚生労働省が公表している情報、およびICO Japanが独自に集計・分析した統計データ(2025年12月末時点)をもとに作成しています。制度の詳細・最新情報は各公式機関にてご確認ください。

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